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派遣の同一労働同一賃金、労使協定方式で毎年やることを整理するのイメージ

派遣の同一労働同一賃金、労使協定方式で毎年やることを整理する

派遣会社の実務のなかで、毎年必ず巡ってきて、しかも後回しにしやすいのが同一労働同一賃金への対応です。とくに労使協定方式を採っている会社では、「去年と同じ協定を出しておけばよい」わけではなく、毎年度の見直しが前提になります。この記事では、労使協定方式で毎年何が発生するのか、なぜ点検が回らなくなるのか、そして台帳をどう持っておくと楽になるのかを整理します。

まず、待遇決定には2つの方式がある

派遣労働者の待遇の決め方には、大きく2つの方式があります。

派遣先均等・均衡方式 労使協定方式
誰に合わせるか 派遣先の通常の労働者 労使協定で定めた水準
基準 基本給・賞与・手当・福利厚生・教育訓練等のそれぞれについて、派遣先の通常の労働者との間に不合理な待遇差がないこと 同種の業務に同一の地域で従事する一般労働者の平均賃金と同等以上であること。あわせて昇給の仕組みを設けること
派遣先が変わると 待遇も派遣先ごとに変わりうる 協定の水準で一貫させやすい

派遣先ごとに待遇が動くと賃金が安定せず、スタッフにとってもキャリアが見えにくくなります。そのため実務上は労使協定方式を選ぶ派遣会社が多く、この記事も労使協定方式を前提に進めます。

労使協定方式が「毎年の宿題」になる理由

労使協定方式で比較対象になる「一般労働者の平均賃金」は、厚生労働省の職業安定局長通達として毎年度公表されます(令和8年度適用のものも公表済み)。つまり基準そのものが毎年動きます。

このため、毎年おおむね次のことが発生します。

  1. 新年度の局長通達を確認する。職種ごとの基準値に加え、地域指数(就業地)や能力・経験調整指数(勤続年数の目安)が示されます。
  2. 自社のスタッフ一人ひとりについて、比較すべき額を算出する。職種 × 就業地 × 勤続年数の組み合わせで基準額が変わるため、人数分の計算になります。
  3. 現在の賃金が基準額を下回っていないか点検する。下回っていれば改定が要ります。
  4. 通勤手当・退職金の扱いを確認する。これらは基本給とは別に要件があります。
  5. 労使協定を締結し直し、社内に周知する。事業報告書に添付して労働局へ提出する運用になります。

厄介なのは、2番と3番が人数に比例して重くなることです。10人なら気合いで乗り切れますが、50人・100人となると、表計算に手作業で並べているうちに年度が進んでしまいます。

点検が回らなくなる原因は、たいてい台帳にある

毎年の点検でつまずく会社の多くは、制度を理解していないのではなく、比較に必要な情報がひとつの台帳に揃っていないことでつまずいています。

要するに、点検作業そのものより「点検するためのデータを集める作業」に時間が溶けています。しかもこの集約作業は毎年ゼロからやり直しになりがちです。

放置するとどうなるか

労使協定方式は、要件を満たしていて初めて選べる方式です。要件を満たさない場合は労使協定方式によることができず、派遣先均等・均衡方式によることになるとされています。つまり「協定を結んだつもりだったが、実は要件を満たしておらず、想定と違う基準で待遇を決めていた」という状態が起こりえます。

また、労使協定は労働局への事業報告書に添付するため、内容の不備は指導の対象になります。賃金の遡及是正が必要になれば、金額よりも「どの期間の誰にいくら」を再計算する事務負担のほうが重くのしかかります。

制度の詳細や自社の当てはめについては、厚生労働省「派遣労働者の同一労働同一賃金について」の一次情報と、顧問社会保険労務士にご確認ください。

仕組み化のポイント

毎年の作業を軽くするうえで効くのは、派手な自動化よりも台帳の持ち方です。

  1. 職種を選択式で持つ。自由記述をやめ、決まった区分から選ぶ形にする。通達の職種区分へ寄せておくと、翌年の突合が一気に楽になります。
  2. 就業地を拠点として構造化する。地域指数は就業地で決まるため、「どのスタッフがどの拠点で働いているか」が一覧で引ける状態にしておく。
  3. 入社日・勤続年数を台帳の一次情報にする。毎年数え直さずに済みます。
  4. 時給の正を1か所に決める。契約・勤怠・給与のどこを正とするかを決め、他はそこを参照する。
  5. 一覧でエクスポートできるようにする。結局のところ、点検は「職種・就業地・勤続・時給」の4列が揃った一覧が出せれば半分終わります。

台帳から始めるという選択肢

この4列を持っているのは、多くの場合スタッフ台帳と勤怠の側です。勤怠管理の Staffix は、派遣スタッフの台帳と拠点(就業地)を前提に設計されており、打刻・勤怠集計と同じ場所でスタッフの所属拠点や就業実績を扱えます。年に一度の点検のためだけに台帳を作り直すのではなく、日々の勤怠管理で使っている台帳をそのまま点検の入口にできる、という考え方です。

全部入りの基幹システムを導入しなくても、まず台帳と勤怠から単体で始められます。

まとめ

労使協定方式は、一度決めれば終わりではなく、基準が毎年度更新される前提の制度です。点検が回らなくなる原因はたいてい制度理解ではなく、職種・就業地・勤続年数・時給が一覧で引けないことにあります。この4つを台帳に構造化して持っておくと、毎年の見直しの負担を減らしやすくなります。

なお、賃金以外の待遇(教育訓練や福利厚生施設の利用など)には、労使協定方式であっても別途の取り扱いがあります。あわせて一次情報でご確認ください。


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本記事は公開時点で確認した一般的な情報をまとめたものであり、 個別の法令判断・税務判断を代替するものではありません。制度は改正されることがあるため、 実際の対応は所管省庁の一次情報および貴社の顧問専門家にご確認ください。

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